芭蕉布の里 喜如嘉
芭蕉布の里 喜如嘉
芭蕉布は、沖縄特産の糸芭蕉の繊維を織った布で、昔は、男女階級問わず、普段着としてあらゆる立場の人が、当たり前のように着ていたそうです。一家に一台機織があり、女性は子育てをしながら芭蕉布を織っていたとか。
しかし、戦後の生活様式の変化により使用量が減り、現在では、大宜味村喜如嘉でしか生産されなくなってしまいました。伝統織物が他県より比較的多く残る沖縄でも、糸から地元で収穫して織りにしているのは、喜如嘉のみです。

国道58号線を北へ走らせ、大きな芭蕉の木が増えてくると、喜如嘉はもう近く。集落内の戸数は200戸を割り、過疎の地域に値する地域ですが、「芭蕉の里、長寿の里」を誇るところです。戦後一度は、芭蕉布の伝統も途絶えそうになったものを、平良敏子氏(国指定人間国宝)らの情熱と努力でこれを復活させ、村の婦人達の共同作業で生産技術が今日に受け継がれてきました。


喜如嘉の芭蕉布は、全て天然の素材を用いています。芭蕉の木から糸を作り、織り、仕上げまで一貫して手作業で行うため、かなり根気と体力を要し、熟練の感隔が仕上がりを決めるのだと言われています。苗を植え収穫できるほどに育つまで約3年と要し、その間、繊維の質を均等に保つため、丹念な世話が必要だそうです。一反を作るのに必要な木は200本近く。かつて、柳宗悦の『芭蕉布物語』でも、「これほど美しい布はめったにない。」との評価は、作業工程を知ると当然なのでしょうか。


芭蕉には、実芭蕉、糸芭蕉、花芭蕉と3種類あり、芭蕉布に使われるのは、糸芭蕉のみです。実芭蕉は、大木のように育ち、バナナの実を何段もつけ、糸芭蕉になる実は小さく、黒い種がたくさんあるため食用にはなりません。芭蕉布の里と呼ばれるだけ、喜如嘉の集落のあちこちに、芭蕉畑が点在しています。


糸芭蕉のどの部分を使うかによって、布の出来具合も異なり、茎から取った繊維で織られた布ほど、最高の仕上がりになるそうです。


芭蕉布会館で、後継者育成に努めている、国指定重要無形文化財保持者、平良敏子氏は、戦後大戦の焦土と共に焼き払われた芭蕉布の製織を存続させました。


戦時中、沖縄女子挺身隊員として岡山の工場で働き、終戦後、岡山倉敷紡績社長の大原氏から告げられた言葉、「沖縄へ帰ったら、沖縄の織物を大切にして欲しい・・・。」の一言が芭蕉布製織に奮闘したきっかけとなったということが、彼女の回顧録から分かります。


芭蕉布と共に歩み、現在この芭蕉布会館で、後継者育成に努められています。小さい頃、お母さんから織物を教えてもらったそうです。とても小柄なあばあちゃんですが、会館へ見学に来たお客さんににっこりと微笑みながらも、テキパキと作業をこなす様子が伺えます。


参考文献
平良敏子の芭蕉布 NHK出版
『図説 琉球の染めと織』 児玉絵里子著


芭蕉布の里 喜如嘉 芭蕉布の里 喜如嘉 芭蕉布の里 喜如嘉
集落のあちこちに広がる糸芭蕉の畑 大宜味村立芭蕉布会館 平良敏子氏による芭蕉布を歌った琉歌
主なアクセス方法
1)お車の場合
那覇空港から3時間半程度
沖縄自動車道:許田ICより国道58号線を大宜味村方面へ約1時間
2)バスの場合
67番 辺土名線 第二喜如嘉で下車より徒歩20分程度
沖縄県大宜味村喜如嘉454 (Sorry, this address cannot be resolved.)

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